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生活知と科学知('09) シラバス

履修案内図シラバス科目概要
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主任講師

奈良 由美子 (放送大学准教授)
伊勢田 哲治 (京都大学大学院准教授)

講義概要

科学知(科学的手法によって獲得される客観的な知)と生活知(生活のなかに埋め込まれてきた経験的な知)とはこれまで別々に扱われることが多かった。むしろ、これらを切り離して論じることは、教える側と教えられる側、専門家と一般市民、生産者と消費者といった立場の分離がより明確になることで発展した近代・現代社会になじむものであった。しかし今日顕在化する様々な問題の解決には、異なる立場間の価値観・意見そして知のコミュニケーションが求められるようになってきている。この授業では、生活知と科学知の観点から、生活および生活者の課題を論究するものである。

授業の目標

人間は誰しも生活する主体(=生活者)である。本科目では、生活を主体的にデザインし構築するてがかりを受講者が得るための、知識の提供と検討能力の育成を行うことを目的とする。

履修上の留意点

「現代の生活問題('07)」および「社会技術概論('07)」を学んでおくことが望ましい。また、生活主体をめぐる現代的実態と課題をより深く学ぶため、「生活とリスク('07)」および「変動する社会と暮らし('07)」も履修するとよい。

テーマ 内容 執筆担当講師名
(所属・職名)
放送担当講師名
(所属・職名)
1 生活知と科学知によるコミュニケーションの時代の到来 科目全体の導入回として、生活知と科学知のコミュニケーションの意義についての問題提起と、科目(学習)の到達点の提示を行う。同時に主要概念の定義を示しておく。

【キーワード】
知、生活、生活の主体、専門家、科学、科学技術、生活知、科学知
奈良 由美子
(放送大学准教授)
伊勢田 哲治
(京都大学大学院准教授)
奈良 由美子
(放送大学准教授)
伊勢田 哲治
(京都大学大学院准教授)
2 日常生活のなかの科学(1) 日常生活と科学は縁がないように感じられるだろうが、実は日々の家事、育児などは知らず知らずのうちに科学手知識、科学的思考法を駆使して行われているものである。生活者は上記のような科学に裏付けられた生活をしている、ということを家事、育児などの事例を交えて紹介する。

【キーワード】
日常生活、家事、育児、知恵、科学的知識、科学的思考
内田 麻理香
(東京大学特任教員)
内田 麻理香
(東京大学特任教員)
3 日常生活のなかの科学(2) 第2回では生活が科学に囲まれており、しかも生活することのひとつひとつが科学的思考そのものであることを説明した。この回では、科学リテラシーは多かれ少なかれ生活者である皆が持っているものだということを検討する。また、テレビというメディアを通した発信の経験から、科学リテラシーの欠如がいかに身の危険に結びつくということを考えていく。

【キーワード】
リテラシー、PISA、科学リテラシー、日常生活、メディア
内田 麻理香
(東京大学特任教員)
内田 麻理香
(東京大学特任教員)
4 日常生活のなかの批判的思考法 科学知の中でも健康に関する情報は日々の生活と密接な関係を持つが、その分科学的な装いをもったあやしい情報が多いことも確かである。第四回ではそうした事例を例にとりつつ、批判的思考、メディアリテラシー、科学的思考といった思考のツールについて学ぶ。

【キーワード】
批判的思考、メディアリテラシー、科学的思考、科学方法論
伊勢田 哲治
(京都大学大学院准教授)
伊勢田 哲治
(京都大学大学院准教授)
5 生活のマネジメント 生活が科学的な側面を持つ営為であることを示すひとつの考え方として、「生活のマネジメント(生活経営)」について、その概念や手法を紹介する。さらに生活経営のなかでの知の位置づけについても考える。

【キーワード】
生活、マネジメント、生活経営の構造と要素、PDSサイクル、リスクマネジメント、生活認識、生活実践
奈良 由美子
(放送大学准教授)
奈良 由美子
(放送大学准教授)
6 社会技術と生活 この回では、科学が広範な社会のなかで活用され、ひいては生活のよりよさに貢献していることを「社会技術」という考え方を用いて考えたい。まず社会技術の概念をおさえる。そのうえで社会技術の開発と実装の実例を見ていき、その開発・実装における課題を考察する。

【キーワード】
社会技術、社会の中の科学・社会のための科学、社会実装、社会問題、シーズとニーズ、協働
奈良 由美子
(放送大学准教授)
奈良 由美子
(放送大学准教授)
7 安全と安心をめぐる知 安全と安心について市民と技術者の双方から考える。技術者はこれまで安全を確保することは重視してきたが、安心を産み出すために何が必要かはあまり考えてこなかった。市民の側も、ただ不安だと言うだけでなくどうすれば安心できるのかを技術者と一緒に考えて行く必要があるだろう。本章では、安全、安心の定義について検討した後、安心を産み出すために必要な信頼をいかに醸成するためのコミュニケーションの在り方、また、市民に求められる科学リテラシーについて考察する。

【キーワード】
安全・安心、技術者倫理、リスク・コミュニケーション
札野 順
(金沢工業大学教授)
札野 順
(金沢工業大学教授)
8 科学技術コミュニケーション 近年世界的に盛んになっている科学技術コミュニケーションについて、その目的や方法論、歴史的・社会的背景、科学技術コミュニケーションの実践例と教育の現状を理解するとともに、生活者としての市民の科学技術との関わり方を考える。

【キーワード】
科学技術コミュニケーション、一般市民の科学理解、欠如モデル、啓蒙型と対話・参加型、サイエンスカフェ
平川 秀幸
(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター准教授)
平川 秀幸
(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター准教授)
9 生活における科学知の利用--サイエンスショップの取り組み-- 日常生活や地域社会の問題解決に関する市民からの相談や依頼に基づいて、大学の学生や教員が調査・研究、専門的アドバイスを行うサイエンスショップは、生活知と科学知が交流する対話・参加型の科学技術コミュニケーションの重要な一例である。その理念と歴史、実際の運営について、大阪大学など国内の事例も含めて紹介し、サイエンスショップを通じた市民と科学および大学との新しい関わり方の可能性について考える。

【キーワード】
市民科学、サイエンスショップ、市民と大学の新しい関係
平川 秀幸
(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター准教授)
平川 秀幸
(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター准教授)
10 科学知に対する市民からの支援 科学研究が資金面でどのように支えられてきたのかという歴史的な変遷について学ぶとともに、基礎科学への市民の支援のありかたについて考える。新しい関わり方の提案として、「市民的パトロネージ」という考え方と名古屋大学における具体的な事例を紹介する。

【キーワード】
大学、研究資金、市民的パトロネージ
伊勢田 哲治
(京都大学大学院准教授)
伊勢田 哲治
(京都大学大学院准教授)
11 生活者による科学技術の評価 自分たちの生活にかかわる科学技術に対して、生活者が主体的な評価を行い選択することの実態と課題を考える。具体的な素材として商品テストと商品開発をとりあげる。

【キーワード】
商品評価、商品テスト、商品開発、消費者主導型商品開発
奈良 由美子
(放送大学准教授)
奈良 由美子
(放送大学准教授)
12 リスクガバナンスと生活知 不確実性と多様な価値観・利害のもとで、専門家、政策立案者、企業、市民・市民団体など多様な主体が相互作用しながら意思決定を行うリスクガバナンス。その基本的な考え方を紹介するとともに、市民がリスクガバナンスに主体的に関わり、生活知を活かしていくための方法論と、その可能性、課題について、生活者の視点から考える。

【キーワード】
リスクガバナンス、リスク分析、生活者の視点、市民参加の方法論
平川 秀幸
(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター准教授)
平川 秀幸
(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター准教授)
13 ローカルな知識の活用 ローカルな知識という考え方に焦点をあて、ローカルな知識を科学知と対等な立場で問題解決に生かして行く可能性について、霞ヶ浦アサザプロジェクトなどの具体例を手がかりに考える。

【キーワード】
ローカルな知識、伝統的生態学的知識、自然再生事業
伊勢田 哲治
(京都大学大学院准教授)
伊勢田 哲治
(京都大学大学院准教授)
14 文化・価値と科学 この講義で紹介してきたような科学知の捉え直しの背景には、科学哲学や科学社会学における科学のイメージの変化がある。今回は、そうした理論的背景について、特に文化や価値が科学にどう影響してきたか、そしてそれが科学の合理性とどうかかわるかについて考える。

【キーワード】
合理主義、科学のエートス、社会構成主義、社会認識論
伊勢田 哲治
(京都大学大学院准教授)
伊勢田 哲治
(京都大学大学院准教授)
15 知のコミュニケーションと生活者の主体性 知のコミュニケーションをめぐっての生活者と専門家の努力、とくに生活者の主体性という観点からこれまでの授業を総括する。

【キーワード】
知をめぐる努力、21世紀の科学者・技術者像、21世紀の生活者像、主体性、当事者意識、知識循環、交易圏
奈良 由美子
(放送大学准教授)
伊勢田 哲治
(京都大学大学院准教授)
奈良 由美子
(放送大学准教授)
伊勢田 哲治
(京都大学大学院准教授)
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