社会統計学('07) シラバス
主任講師
片瀬 一男 (東北学院大学教授)
講義概要
社会調査や実験から得られたデータをもとに、統計的分析を行なうための基礎を学ぶ。その際、因果推論の方法、すなわちクロス表分析、t検定、分散分析(F検定)および回帰分析による仮説検定を中心に講義をすすめる。そして、初等統計学の基礎知識に関する理解を十分深めた上で、実践的な分析技法にすすむ。また、講義のなかでは、実際の分析例を数多く紹介し、受講者には単に講義を聞くだけでなく、例題や練習問題を解くことを課す。したがって、受講に際して、とくに3回目以降は、電卓(平方根を開く機能とメモリー機能のあるもの)および筆記具を用意すること。
授業の目標
社会調査や実験のデータに関して、基本的な統計的分析を行なうための技法を身につけることが主要な目標となる。そして、仮説の検定によって因果推論を行う思考力の習得を目指すとともに、統計的分析をもちいた既存の論文や報告書などを読みとる力を養う。さらに、実際の分析例に数多く触れることで、統計的分析をつうじて社会現象の背後にある因果関係を解明する愉しみを体験することも授業の目標となる。
| 回 |
テーマ |
内容 |
執筆担当講師名
(所属・職名) |
放送担当講師名
(所属・職名) |
| 1 |
調査はどのように行われるか |
社会調査の目的は何か、また調査から得られるデータにはどのような種類があるか、またデータ分析において理論や仮説がどんな役割を果たすのか説明した上で、さかのぼって調査の設計から因果図式・仮説の構成、質問文の作成など一連の社会調査の流れを解説する。 |
片瀬 一男
(東北学院大学教授)
|
片瀬 一男
(東北学院大学教授)
|
| 2 |
調査データをどう分析するか |
社会調査データの分析における記述と説明を具体例をもとに解説し、度数分布や記述統計による記述、統計的説明の意味を示す。また、統計的説明において仮説の検定がもつ意味をサンプリングという考え方も踏まえて解説する。 |
同上 |
同上 |
| 3 |
度数分布表を作成する |
社会調査データ分析の出発点となる記述の基礎として、度数分布表の作成、百分率(パーセンテージ)の計算法などを変数の性質(離散変数・連続変数)ごとに解説し、累積度数分布やパーセンタイル、分位数の概念についても理解を深める。 |
同上 |
同上 |
| 4 |
度数分布を記述する |
作成された度数分布表をもとに、これを記述する統計量として、代表値(最頻値・中央値・平均値)と変動の測度(多様性指数・範囲・分散・標準偏差)の計算の方法、またそれがもつ意味について紹介する。 |
阿部 晃士 (岩手県立大学准教授) |
阿部 晃士 (岩手県立大学准教授) |
| 5 |
クロス表を作成する |
2つの離散変数の関係から因果推論をするために、クロス集計を行う方法について解説する。そして、標本に基づく母集団に関する推定の考え方を紹介しながら、仮説の統計的検定の意味について理解を促す。 |
片瀬 一男 (東北学院大学教授) |
片瀬 一男 (東北学院大学教授) |
| 6 |
クロス表を分析する:カイ二乗検定 |
クロス表から因果関係に関する仮説検定を行う技法として、カイ二乗検定の方法を学ぶ。カイ二乗検定統計量の標本分布から検定統計量のもつ意味を説明し、自由度の概念を理解したうえで、実際にカイ二乗検定による仮説の検討を行う。 |
同上 |
同上 |
| 7 |
2つの平均の差を検定する(1):正規分布 |
標準誤差が既知の場合に、連続変数における2つの平均の間に、統計的にみて有意な差があるか検討するために正規分布を利用する方法を紹介する。正規分布の性質を理解したうえで、実際に正規分布を利用した仮説の検討を行う。 |
阿部 晃士 (岩手県立大学准教授)
|
阿部 晃士 (岩手県立大学准教授)
|
| 8 |
2つの平均の差を検定する(2):t検定 |
標準誤差が未知の場合に、連続変数における2つの平均の間に、統計的に有意な差があるか検討する方法としてt検定を紹介する。検定統計量としてのt分布の性質を理解したうえで、実際にt検定による仮説の検討を行う。 |
同上 |
同上 |
| 9 |
複数の平均の差を検定する:分散分析 |
複数の標本平均の間に差があるかどうかを検討するための統計的手続きとして、分散分析について学ぶ。連続変数全体のばらつきを、独立変数による群効果とそれ以外の誤差によるばらつきとに分離して、F比を求める手順や考え方を解説していく。 |
高橋 征仁
(山口大学准教授)
|
高橋 征仁
(山口大学准教授)
|
| 10 |
2つの連続変数間の関係を推定する(1):回帰分析の基礎 |
2つの連続変数の関係から因果推論を行う方法として単回帰の基礎を学ぶ。散布図や回帰直線に関する理解を深めた後、最小二乗法により線形回帰方程式を推定する方法を実際の研究例を示しながら解説する。 |
阿部 晃士 (岩手県立大学准教授) |
阿部 晃士 (岩手県立大学准教授) |
| 11 |
2つの連続変数間の関係を推定する(2):回帰分析の応用 |
回帰分析から計算される関連の測度である決定係数と相関係数がどんな意味をもつか説明し、併せてその検定の仕方を学ぶ。さらに、標準化された回帰係数(ベータ係数)を計算することの意味を解説する。 |
同上 |
同上 |
| 12 |
離散変数間の関連を測定する:関連係数 |
クロス表における2つの離散変数の関連の強さを示す関連係数とその計算法や使い方を説明する。具体的には最適予測係数、コンティンジェンシー係数、ファイ係数、ユールの関連係数などを取り上げる。 |
高橋 征仁 (山口大学准教授) |
高橋 征仁 (山口大学准教授) |
| 13 |
多重クロス表を分析する(1):エラボレーション |
独立変数と従属変数の関係を明らかにする方法として、第3変数を用いて多重クロス表を作成し、分析する方法――エラボレーションについて学ぶ。エラボレーションによって、疑似相関や付加効果、交互作用などの変数間の関連が解明されることになる。 |
同上 |
同上 |
| 14 |
多重クロス表を分析する(2):エラボレーション |
第3変数の影響を除去して2変数間の相関を捉える方法として、偏相関係数を取り上げ、その考え方や計算方法について学ぶ。また、この偏相関係数が、もとの単純関連(単相関)や分割関連、周辺関連とどのような関係にあるのかを明らかにする。 |
同上 |
同上 |
| 15 |
講義のまとめ:調査報告書や論文の読み方・書き方 |
現代の情報化社会における統計リテラシーという観点から、これまで学習してきたことを振り返り、比較・検討していく。そして実際に調査報告書や論文を読んだり、自分で作成したりする際の注意点を取り上げる。さらに、社会統計学や社会調査について、今後の学習指針を示す。 |
同上 |
同上 |
  |